説明

✧　序　章　✧

今は昔、タメックという男がおったそうな。

働きもせず、家で、絵ばかりかいておったそうな。

✧通りすがりの若者「おい、タメック、おまえ、売れない絵ばかりかいて楽しいか？世の中、銭だ、さっさと銭かせげ、さもなくば死刑だ」

✧タメック「なんだと！？きさまこそなんだ、俺様を誰だと思ってる、口の聞き方わりいぞ、さあ!あやまれ!」

✧いたいけなうり坊

「なあきみ、いまにわかる。絵をかくことの凄さが。きみらは、音楽にうつつを抜かしてやがれ!　速攻性のある事柄だけに心奪われてやがれ!　絵とゆうのは、長い間、誰にもあまり理解されず、部屋の片隅でじっとしてるだけだ、ああ、それのなにがわるい、でも、そうやって忘れ去られていくだけの無力な年寄りだと思うのは大間違いのこんこんちきだ。いつか、その静粛な態度が、素晴らしきこととして発覚される瞬間がくる、ああ、かならず来る、若き日が、速攻性な快楽だけを求めて過ごしていたはずだ、いや、それをくつがえすようなあんたのこころがわりがいずれやってくる。そのときが、絵とゆうものの偉大さが証明される時であろう」

✧道をはずれたとっくりを担ぐ者「きみきみ、そうさなそうさな、わかってるじゃないか、いやでも、速攻性とやら、それはなにも、音楽にかぎらないぜ、人間どもは、欲のうちに流されてゆく。食と性欲と享楽と快適欲だ」

タメック「しかしどうだろう、快適欲など人間様の特権だろうが、そこを外れてみるのもまた享楽だ。」

✧たぬき「なんだいそれ」

タメック「結局人生なんて暇つぶしだ、仕事仕事で破綻するものもわんさかいる。しかし、その合間、隙間時間に、河へ狩りに出掛けるなんてさあ、それが大いなる邂逅ってもんさ。」

✧パン売りの坊や「え、もしかして、狩りって、あの、化け物退治のことかい？」