説明

場所は、広島県尾道市梶山田。

古都、京都、、、には、訪れたくとも、銭がないので、地元の風景を撮って絵の題材にしよう。

あれはなんだ、なんともいえない雰囲気を醸し出す古びた民家じゃ。

ほほう。京都にいかずとも、近所にあるではないか、こういうのをもとめておった。

あまり、手入れの届いていない山林に囲まれた、いにしえのほこりをまとったこの木造建造物だ。

この妖しい雰囲気の家を、書いてやろう。

観賞していただきたい点）

1、家のトタン風屋根。

２、手前の泥のような地面とその上の藁のような物。

３、一番手前の葉のない枯れ木。

４、左右からつながる家の前までの道。

５、家の左手の大きな茂みの下の影。

６、家の窓、右の家の窓。

７、右の家の右隅。

８、家を覆う背後の山の様子。

９、空の色。

１０、筆の描写。

１１、家と山の際（きわ）、家の端、の暗い影。

上の１～１０のうち、特にみていただきたいのが、３と５と６ですが、本音を申しますと、すべて念入りにみていただきたいです。

結論から申しますと、みていただくことにより、想像できる、怖さといいますか、不思議な感じです。

３では、枯れ木があたかも、もだえ苦しむ人間のようにも見れると思います。

この絵の描いた時期は、晩秋～冬だったと思いますが、この時期の「枯れ木」がそのような感じにも見れるということをみていただきたいと思いました。そして、灰色の地面に藁のような枯草も、なにか懺悔している人間のようにもみえませんか？

となりますと、家が、この風景上のなにかのあるじで、それに崇拝する懺悔衆、、、。

なんともいえない恐怖というか、ミステリアスな感じもしてきませんか？

それはさておき、５の「茂み」は、この下の影の暗さを見ることによりまして、子供のころに戻って、かくれんぼしている頃にもどってみてください。

これは、影、陰影のもつ独特の不思議な感じがもたらす作用だと思います。

６の家の窓を見ますと、カーテンのようなものがしてありますが、内に人はいるのでしょうか。

少し黒々としている外からのぞける窓越しの家の中は、一体、だれかいるのですか？

いるとすれば、人間ですかね？動物？いえ、妖怪しかないでしょう。江戸の元禄期から、ひっそり住んでいる、あやかしのたぐいでまちがいございません。

これらのものを見つつ怖いというか、過去にもどった感じというか、不思議な感じを持たれつつ、背後に構える山々を御覧ください、そうすれば、あなたに覆いかぶさってくるような威圧感をかんじられませんか？この古いトタン屋根にこの山ときますと、

山の奥深くに来てしまった感覚、普段の生活を抜け出た深い森の中にいるような感覚です。

この感覚をぜひかんじていただきたい。

そして、このあとに、一番上の空を御覧ください。赤で塗ったのですが、オレンジ色にも見えますが、赤色の空としてください。

この赤色のもつ、デンジャーな感じを漂わせているこの家を取り巻く環境を感じてください。つまり、異世界です。